飛行実験

「ゆら×イラ」4*1

「おーい、みすずー!」 県立屋内プールの玄関ホールは、競技を終えた選手や応援の人たちでごった返していた。ほんの一時間前までプールにあった喧騒がそのまま移ってきたよう。 その混んだなか、みすずは手を振っている結華に気づいた。手を振り返して、駆…

「ゆら×イラ」3

特急が、光生の目の前を通過していく。風があとから追いかけてきて、光生の髪を巻き上げる。 駅のホームで、光生は電車を待っていた。 一時間に三本、普通電車だけが停まる。片田舎のJRはこんなものだ。ホームを繋ぐ陸橋はボロボロのサビサビで雨漏りもす…

「ゆら×イラ」2

「男ってさぁ、みんなエッチなのかな」 開け放した窓から両腕をだらんと出して、みすずは問いをこぼした。 「なになに、藪から棒に。青春ごっこならヨソでやってくんな」 食後のコーヒーを淹れてきた結華が、つま先でみすずのかかとを小突く。 特に用事がな…

執筆リハビリ1「ゆら×イラ」*2

「くぉの、ばっかやろぉぉぉぉぉーーっ!」 背後から投げつけられたスイミングゴーグルを、うしろに目がついていない光生はもちろん避けられなかった。 むしろ声に反応して振り返ったら、ちょうどまぶたにぺちんっ、と。 「――――っ」 片目を抑えて、光生はう…

オイラもいい年になって、眼高手低というか、「こんなの送ってもまた一次落ちだよ、新規さもないし地味だし」みたいなのが見えちゃって、それでなかなか企画から執筆へ移れないことが多かったのですが。 いまのオイラはあまりにも本文を書かなさすぎてきてし…

電撃大賞、来年から一次通過以上に限り評価シート配布へ

あわせて選考も一段階増えて、一次→二次→三次→四次選考通過=最終選考候補、となるようで。 応募総数に急激な増加がないと考えた場合、選考段階が増えるというのはイコール、一次通過本数&一次通過確率がこれまでより増えると考えていいのではないでしょう…

物語二項論

先日、ここでも報告させていただきました新作の件ですが、おかげさまで自分が思ってたより好評な感想をいただいており、俺としましてもなかなか気のいいところであります(感想をいただけたのは現在おふたりだけですから、成果として語っていいのかわかりま…

というわけで、(有)に投稿してまいりました。 枚数は83枚/400字詰。 もともと夏の電撃短編賞用に企画したものだったのですが、その後短編賞休止がわかって筆が進まなくなり(平行して他の話のあらすじや設定を詰めたりしてましたが)、さらに内容も…

電撃hp短編小説賞、募集休止

ワナビ的には大事件なのでやはり取り上げなくてはいけません。 hp短編小説賞は、この10日発売のhpに募集要項が載っていなかったことによって、ひっそりと休止が確定しました。出版業界の慣例にのっとって「休止」と書きましたが、実際はたぶん「廃止」でし…

小説はもちろん迷い中。 目下迷っていることはみっつあって、ひとつは「ふたつ目のフラグはどこまで進めれば/どこで落とせばいいのか」ということ。 エロメディアでもないかぎりハーレムエンドというのはないですから、ヒロイン以外の女の子は究極、「噛ま…

いばらぶ 大反省会

まかりなりにもココで公開した話なので、反省会もココで公開形式でします。はい。 えー、なんとか「チャット(針)」のほうで話題にしていただきまして。それも「土曜にやるぞ!」というのを金曜に呼びかけるという、かなり無理なことをしたわりには、ほぼい…

「いばらぶ」(上) 62枚*1

1 木野亮太は生徒会副会長で。日々いそがしく、校内を動き回っていて。 それなのに、いつもまわりには嵐が吹き荒れている。 「こんなところで……勝手に、なにしてんのよっ!」 学園の西の端、第七グラウンド。女子野球部の活動場所。 亮太のもとに現れた彼女…

「いばらぶ」(下) 42枚*2

3 結局、亮太たちは続く六時間目もサボって、生徒会室にいた。 ただぼけっと座ってるわけにもいかないので、亮太は部屋の隅にたまっていた生徒会への意見書を見ていた。 ずっと以前の代から、生徒会では目安箱を設置して匿名で意見を募っている。紗織は『自…

ひとりごとを、いまから少し。 表だっては言えないのですが、先日(有)に投稿した話――あれを書いてるとき「波に乗れなかった」というのは以前ここで言ったかと思います。 あのときは理由をあまりはっきりとは言わなかった(もとい、認めたくなかった)ので…

……てなわけで、新作を(有)に投稿してきました。 今回は久々ですから。出来は……話のネタ・エサになんとかなれるかどうかというところ。忙しいかたはマジにスルーしてください。 まあもうすぐ、みんなのアイドルきょろの新作も出るみたいなのでね、オイラの…

一応、書いていた話を書ききった。まだ手直ししたいところがいっぱいあるので完成はしてませんが。 たかだか130枚ほどの話(それもたぶん習作)にどんだけ時間かかってんのかと、自分でも複雑な思いはあるところですが。いまは書ききったことに安堵してお…

書いた小説を公表していたりすると、ときどき、自分の想定・意図とはまったく異なる読まれかたをすることがあります。 一応、「すべての『誤読』は作者の罪」という考えを信条にしている俺ではありますが。しかし所詮俺なんて小さい人間、この世に存在するす…

個人的な事情から投稿のために小説を書くことを停めているオイラであるが、停めてから1週間ぐらいして、「なにも書かないのはマズい」と感じるようになった。というのも、自分の小説力が明らかに右肩下がりで低下していってるのがわかったからだ。 そこで、…

最近考えたんだけど、やっぱり「巻きこまれ型の話」は、視点者(一般人感覚を持つ、異常識世界の紹介役)も敵の攻撃にさらされたほうがいいんだな。当事者性をつけるというか。傍観者ではうまく事例の特殊さを書けない。オイラはよく描写の手段として「体感…

「電撃+小説+投稿」とかで検索して来る人がちょこちょこ見られるようになりました。んー、季節感あふれますな。 まあはてなの吐く検索スコアの高さには不満ですけど。検索結果にウチごときが出るのはおかしいだろうと。はてなにいくつかあるデカい欠点のひ…

中途半端に小説テクニックを知っている小説家志望者の「酷評」は、プラスよりもマイナスのほうが多い

耳に痛え。うなずける部分もあるだけに。 誉めメインでやったほうがいいというのもわかるんだけど……それをやりすぎると、ただのぬるま湯の馴れ合い/もしくは誉め強制の空気みたいなのができてしまうことがあるんだよなあ。 作品の完成度を上げたい場合と、…

で、なにげない感じであらすじを出す。今回からはテーマを変えてみた。 4「愚か者の性分」 あまり裕福ではない村で育った主人公。かわいい恋人と青春の日々を費やしたりしてそれはそれで幸せなのだったが、男子としての充足感というものがなかった。主人公…

ごめんなさい、半端なものを出します。できれば読まないほうが時間を有効に使えるかと。 3「クロスポイント」 少年と少女は幼稚園時代からの幼なじみ。少年のほうは特に恋愛感情とか意識したことはないけど、まあ会えばちゃんと話せるし、笑いあえもできる…

先日の続き。「面白い」の話。 いろいろ考えた結果、キャラクタの面白さについてしばらく考えてみることにした。 具体的には、キャラクタの面白さをひっかかりにして、ちょっとしたあらすじなどを作ってみるということ。つまりキャラクタの面白さから話を作…

えー、それはそうと、にしづるさんから大変重みのあるコメントをいただいたので、コメ欄ではなくこっちでレスします。 >エンターテインメントを目指すなら、まずは、「面白いもの」を書くべきなんじゃないかなと思っています。どれほど体裁が整っていても、…

あらすじについては現在直し中。 「廃棄」などとエラソーにぶち上げましたが、実質いまのところやっていることはキャラの取っ替えとテーマの明確化作業なので……基本的な流れ(イベント)はそのままだったり。ので、頂いてるアドバイスは大方そのまま役にたっ…

さしたるショックもなく、hp短編賞は1次も通らずに落ちた。まさに想定の範囲内というやつだ。というか落ちることに慣れすぎて、感覚が麻痺している。最悪。俺死ね。 オイラはよく、ラノベ書きとしてはキャラ力がないと自称している。 しかし今回は、もちろ…

「『かもしれない』の森を行く」 11枚*1

「荷多取、それお前のだろ。ゴミ箱のなかにまぎれこんでたから拾っておいたぞ」 千条亜理沙は新聞を顔前に広げたまま、部室に入ってきた相手にそう告げた。備品のパイプ椅子に、足を組んで座っている。スカートから膝がこぼれ、腿の生白さが覗いている。 そ…

素直クールvsツンデレ*2 *3

足で器用にドアを開けながら、宮野桜は生徒会室に入ってきた。その腕には、書類が山と抱えられている。 「うわっとと、っと、と……」 開けたとたん、大きく前後によろめく。長い髪が背中で踊る。 「どうしたんだ。そんなに」 すでに部屋にいた相川晶がすかさ…

海原零vsスーパーダッシュ新人賞受賞3作家対談

新人の顔見世に対談を使うというやりかたは、やはり電撃からの流れでしょうか。まあそれなりに面白かったけど。受賞者の年齢を除いて(哀)