「TISTA」2巻(遠藤達哉/集英社)

TISTA 2 (ジャンプコミックス)

 完結巻。
 ぶっちゃけ打ち切りだったのですが、打ち切りとは思えないほどよくまとまっていると思う。というか畳みかけがすごい。
 純粋な害意のせいで幼児期にトラウマを抱え、そのトラウマに導かれるまま修道騎士となり悪人を裁き続けるティスタ。ティスタにとって正義を奮うということは徳を積むということであり、神へ赦しを請うことと同じだった。修道騎士であり続けることが、精神の平穏を保つ唯一の方法だった。
 だが幼なじみのアーティと再会したことで心に揺らぎが生まれ、神の代行者としての精度が鈍っていく。
 ついにはそれが隠しきれなくなり上層部から最後通告を受ける。目撃者であるアーティを殺せば、これまで通り修道騎士としての職務を続けさせてやろう、と――
 ティスタが能力を得る過去話あたりからの加速感がハンパないです。教会の福祉施設だからね、まあ悲惨な子どもたちっていう道具立てには困らないんだけど。
 ブロードウェイ志望少女だったスージーが扼殺未遂で声(歌)を失って、そこから12年後に唖の女優になって笑ってクリスマスの聖歌隊の前で踊っているシーンとかね、とてもこう、グッとくる。