電撃hp短編小説賞、募集休止

 ワナビ的には大事件なのでやはり取り上げなくてはいけません。
 hp短編小説賞は、この10日発売のhpに募集要項が載っていなかったことによって、ひっそりと休止が確定しました。出版業界の慣例にのっとって「休止」と書きましたが、実際はたぶん「廃止」でしょう。こうなった経緯をいろいろ類推していくと、復活は難しいのではないかと思えてくるからです。
 にしても、仮にも1回につき600程度の投稿を受けていた賞なんですから、ほんとに休止なら事前にちゃんとしたアナウンスがメディアワークス側からあってもいいと思うんですけどね。前回の結果発表のときとか、前号か今号のhpとかで。
 他のレーベルとか見回して、600本に届きそうな新人賞ってどれだけありますかね。
 それどころか、今年春の第7回の結果発表ページ見たら、「次回、受賞するのはキミたちかもしれない!? またのご応募をおまちしてま〜す!」の文が。この時点では、やめるつもりはなかったということか。
 しょせん、看板は電撃大賞、短編賞はあくまで副次的なもので、メディアワークスとしてそんなに大事には考えていなかったということなのかもしれません。


 なんだって短編賞は休止してしまうことになったのでしょうか。
 こっから先はオイラの勝手な類推ですが、やめることによって生じる変化、というものを考えていけばいいと思います。
 まず単純ですが、選考しなくてすむ。MWは下読みは外注とかいう話はどこかで聞いたような気はするのですが(記憶曖昧)、1次通過から先は編集者も読んだりするわけで、編集者の仕事はそこで確実に増えます。
 一方、電撃大賞の投稿数は3000本前後で安定しかけているんですが、これの負担はかなりものなんじゃないかと思うんですよね。実際、1次選考で250くらいまで絞るんですけど、そのへんの、あるいはそこから先のもろもろの作業というのはかなり大変なんじゃなかろうかと。
 電撃大賞の負担が増えてきたぶん、短編賞をやめようという意識が働いてもおかしくはありません。


 そしてもうひとつの変化は、1年にデビューする新人の数が減る、ということです。
 イコール言いかえれば、MWは抱える作家の数をセーブしたいと思っているのではないか、と推測できるんですけども。
 ツッコミが来そうで怖いことを言いますが、いまの電撃は、中堅から下の上あたりの作家が少し多すぎるのではないか、と思います。月に10点以上文庫を出しても、hpで連載させたり不定期の読切書かせたりしても、まだ余ってるんじゃないかと思えるほど、作家の数が多い。
 短編賞を設立したり、3次選考落選のワナビに声をかけたり、富士見に追いつき追い越していった過程でのMWはとにかく拡大戦略で、作家数を増やしまくった。それは結果的に成功したんですけど。
 永遠に膨らみ続ける風船がないのと同じように、抱えこみきれる作家の数も限度があるわけです。
 今後は儲け、商売に対してシビア寄りに考えかたを変えたということはありうる。


 まあ完全に類推どころか妄想の域の話をしてしまいましたが……えー、最後はワナビとしての話でシメさせていただきます。
 今後、短編投稿の世界はどうなってしまうのか。
 一応、電撃大賞においても短編部門があります。そもそもはhp短編賞始めたときも、電撃大賞に短編部門あるのにどうしてバッティングするようなことするのか、という反応が一部からあったんですけど。MW的には、電撃大賞のほうで短編投稿需要は回収できるから問題ない、という計算は立ってるのかもしれない。
 ま、8月末締め切りという時期設定は絶妙だったんですけどね。学生が夏休みに書くには最高でしょ。そういう点で、単純に電撃大賞の短編部門の投稿数が増えるとはオイラは考えません。そもそもあの短編部門、投稿総数水増し用に置いてるんじゃないかとか言われて、けして評判はよくないし(長編だけで1500超える賞が、水増しを求める必要はないと思うんですがね……こういう評価はいまだにある)。13回やって、銀賞1、奨励賞1、デビューにこぎつけた甲田さん(甲田学人)や初期の短編集文庫「臥竜覚醒」含めても6人ぐらいしか実績がない。まともにデビュー考える人間ならここに短編の勝負はしません。
 となると、小学館のガガガとかでしょうか。あそこは確かミニマムが45枚とかだったはず。締め切りは9月末だし、今回の急な休止を受けて、短編賞難民がそれなりに流れる可能性はありますね。
 もっとも、ガガガが短編をどの程度拾う意志があるかは不明ですが。電撃大賞とたいして比率的には変わらないんじゃないでしょうか。


 オイラにとって一番の問題は、もし賞があったらいけないということで書きはじめてた短編をどうしようかということなんですけどね……。完全な習作にするというのもなぁ。そんなに時間が許されているわけでもないし。まあ筆のリハビリだと思えばまだ納得できるんですけれど。