いばらぶ 大反省会
まかりなりにもココで公開した話なので、反省会もココで公開形式でします。はい。
えー、なんとか「チャット(針)」のほうで話題にしていただきまして。それも「土曜にやるぞ!」というのを金曜に呼びかけるという、かなり無理なことをしたわりには、ほぼいつものメンバーに集まっていただいて。本当に、本当にありがたいことだったと思います。
あらためて、あれを読んでくださったかた全員にお礼を申しあげたいです。ありがとうございます。
で、そのチャットで言われたことをベースにして、大反省会という名の言いわけ大会をやるわけですが。ぶっちゃけ、2月3日のログを読まれたほうが全貌がわかりやすくていいかもしれない、ということはまず注釈として言っておきます。
はい。それでは参りましょう。大反省会。
チャット当日、オイラはいつものごとく緊張しておりました。たいした自信はないとはいえ、一応は自分で書いたもの、やはり叩かれるというのはけして気のいいものではないわけで。自己研鑽のためとはいえ、好んで自分の思考度のなさを突っこまれにいくというのは、やはり何度やっても慣れはしません。
そんなオイラの緊張を一気にほぐしたのが、
杉井光 > 最初に言っておきたいことがあります。面 白 か っ た !
杉井光 > たぶんまっきーがこれまで書いてきた中でいちばんいい作品じゃないかと思います
これです。
まあコケかけましたね。イスから。新婚さんいらっしゃいの桂三枝師匠よろしく。ほめられ慣れてないとこういうとき困る。
特に杉井さんはほら、なんでも知ってる近所のお兄さん的存在にオイラ思ってるんで。そういうお兄さんにほめられる感覚ってのはこう、わかりますかね皆さん? 地域社会崩壊してるような都会育ちのかたにはわからないでしょうか?
ただ、そういう浮かれ心地というのはすぐ終わりまして、あとはシリアスに瑕議論会になってったわけですが。
引用すると流れが止まるので(しかも無許可引用だし)、ここからはオイラが問題点をまとめて、それについて書くという形式でいきますが……えー、とりあえず話題になった順番に書いていくか。
まずはこれ。
『なんでもあり化がうまくいっていない』
専門用語っぽく言うと「フィクションレベル」とか「リアリティレベル」とかいうあれです。
世のなかには、例えば釘バットで撲殺しても何度でも復活したり、電撃で真っ黒けにされても死ななかったり、死亡確認されても生き返ってたりするフィクションがあるわけです。リアルに考えたらどれも「ありえない」わけですが。コメディにおける誇張的手法として、そういう「ありえない」ものやことを作中で標準化してしまうことがあるんですね。
この話の鍵は、『惚れ薬』です。……考えるまでもなく、これ、現実にはないですよね? 『媚薬』ならまあエッチなお店にあるかもしれませんが……あれは発情薬に近いものでしょうし。
で、そういう、現実にないものをメインとしてバーンと出すには、読み手にまず「これはありえないものが出てくる世界ですよ」ということを認識しておいてもらわないといけないわけでして。要するに、戸惑いを与えてはいけないわけです。ヤクザの血で血を洗う抗争話で、死んだ若頭が先代組長の娘の魔法とかで生き返ったらイヤでしょ? いや、脱力オチを狙うならいいのかもしれませんが(笑)、普通はちょっとシラケますよね。
マナーとして、書き手は世界の標準リアリティレベルを素早く提示しておかなければならんわけです。話の柱がましてや『惚れ薬』みたいな超常アイテムなら。
この話はそこが上手くいっていない。
1章の途中で、『防衛システム』というこれまたちょっと学園モノとして「ありえない」設定が出てくるわけですが、本来はそこまでに世界の「ありえなさ」を示しておかなきゃいけなかったわけです。
……そういや、数年前人生で初めて書いたコメディは、冒頭が「幼馴染みに改造手術される主人公」というシーンだったなぁ。あれはあれで「ありえなさ」提示できていたんだろうに。無意識でやってたんだろうな。
次はこれ。
『ヒロインの婚約者が単純悪人すぎる』
そもそもなんだって婚約者をヤなやつにしようかと考えたかというと、こっぴどく振られても読み手がかわいそうと思わないようにしたい、という想いがあったからなんですが。
彼がヒロインのことを好きなのは、かたちはどうあれガチなわけです。ベタ惚れなわけです。それで振られる、というのは――仮に彼になんの落ち度もなかったりすると、ちょっとせつないじゃないですか。非モテとしてはどうしてもそういう思考を持ってしまう(泣)
だから杉井さんはチャットで「道化にしたほうが楽」と言っていたわけですが。
実際、どうなんだろう。落ち度って言っても、べつに人類にとってあまねく不快なものでなくてもいいわけで。ヒロインにとってただ不快だった、というものを満たしておけばいいんじゃないかと。例えばヒロインは猫嫌いなのに、いつも彼は愛猫を連れ歩いてて、家にもウジャウジャ猫がいて、こんなとこ嫁に行けない――みたいな。
落ち度というか、振られる理由があればオイラは納得できるのかな。むぅ。
まあ貧乏人見下し傲慢キャラというのはちょっと変更する必要があるでしょうね。見下しはともかく、人間扱いしないのはよくない。
最後にこれ。
『ハカセのフラグをなぜ立てないのか』
ハカセ――『惚れ薬』を開発しちゃう天才少女なんですが。
基本的に、この手の話で出てくる女性キャラにはフラグが立ってるもの、という常識はオイラも持ってました。だから、最初は彼女も主人公に好いているような方向性で話を考えてたんですが。途中でやめちゃったんですよね。
理由は単純で、ややこしくすると書けなくなる怖れがあったから。自分の力量を過信してはいけない、と、何作も失敗を積み重ねると、ある程度はそういう考えも生まれます。
話の焦点がブレかねないことをオイラは嫌がったわけですね。だからかわいく書こうという意識はなかった、という。
まあ結局これも、振られさせることに慣れていないことに遠因があるような気はしないでもないな……主人公とヒロインがガチなのは動かせませんから。そこに絡んでいく他のキャラは、すべて噛ませ犬になります。
世のなかには、失恋したときの女の子がかわいくてたまらないという御仁もおるようですから、べつに女の子を振られさせることにそんなにマイナスイメージを持たなくてもいいのかもしれませんが……
えー、ではまとめとして、今後の予定を。
チャットでも話していますが、この話は連作短編形式にして公募の規定枚数に乗っけることにしました。
これまで挑んだことのない形式ですので、もちろん簡単な道ではないです。単純にひとつなぎの長編を書くより、手間は確実にかかりますし。それだけ、失敗する可能性も増えます。
ですが、削って短編にするには書きたいことが多すぎ、この話を単純に長編化させては逆に密度不足になるんで……この話を生かすには、連作短編という形式がベターなのかな、と。
3話か4話構成でいまのところ考えていますが、ポイントとして最も考えなければならないのは、「主人公とヒロインの関係をどこまで進めるか」なんですよね。
完全にラブラブになるか。少しだけの前進にとどまるか。そもそもはっきりと告白させるのかどうか。sugii-endなら別れて終わりかもしれませんが(苦笑)
このあたりは、安易に決めてはいけませんね。真っ先に決めないと全体の流れを決められないので、早く決めたい焦りはあるんですけど。まあ慎重に。