というわけで、(有)に投稿してまいりました
 枚数は83枚/400字詰。
 もともと夏の電撃短編賞用に企画したものだったのですが、その後短編賞休止がわかって筆が進まなくなり(平行して他の話のあらすじや設定を詰めたりしてましたが)、さらに内容もどんどん変わっていって、個人趣味に走りまくってしまいました。


 ここでは遠慮とかしたくないので反省もネタバレ前提/なんでもありで書きますが。
 「死」に近接しているセカイ系的要素を下地にして、監視環境からの脱走(=「生きること」への渇望)を軸にした話にするはずだったんですが。サプライズとか「幸せとはなにか」とかの概念とか持ちだして、いつものフィールドに引っ張ってしまったというか。
 いまにして思うに、「死」の臨場感を出しきれなかったことが、話の方向性を保ちきれなかった際たるものかなぁと思います。過去エピとか墓場でなんとかしようという足掻きは見られますが。主人公本人の死期までまだだいぶ間がある設定にしたことが、果たして当初目指した方向へ向かっていく上で、適切だったのかどうか。
 それに、恋愛要素を抜いたのも、果たしてどうたったか……以前から恋愛を抜いた話を書いておきたい気持ちがあったので、それをちょうど今回採用してみたのですが、死の近接する世界を書こうとしたならば、かえって主人公に恋愛要素があったほうがよかったのではないか、とも思えてきて……。
 そういう世界のおかしさを表すのに、主人公に「死にたくない」って思わせることが必要で、その想いの原因として恋愛を用いるという――まあベタなんですが、しかし共感性という点からみて、このベタは完全に無視することはできません。最終的に使わないまでも、一度は検討しなきゃいけないレベル。
 今回の話の主人公は、「死ぬこと」に対してはほとんど抵抗してないんですよね。かなり受け入れてしまっている。むしろ死にかた/生きかたの不自由を嘆いて、そこと闘っていくという。
 わかりやすいエンタテイメントを目指すなら、死ぬことそれ自体への抵抗意識/怖れ、そこをもっとクローズアップしなきゃいけませんでしたね……いかに不治の病で、自分の死を受け入れていると言っても、死ぬことそれ自体への怖れまでまったくなくなるということはないはずで。
 脱走に意識が行きすぎたかなぁ。うーん。