「神様のメモ帳」2巻(杉井光/メディアワークス)

神様のメモ帳〈2〉 (電撃文庫)

 全体的にヤクザ世界な話。1巻目とはちょっと毛色を変えてきた感じ。
 一人称なせいもあって、それほど違和感を感じさせずに読ませてますけれど。学園生活も都心ヤンキーも乏しくて、代わりが外国人労働者とかマネーロンダリングではさすがに生臭さは隠せません。
 読んでるとだんだん、杉井さんはホンマもんにヤクザに結構会うたことがあるんじゃないかとか思えてきてしまうのが今作の魅力でしょうか。や、それだけそれっぽかったというか。もちろんほとんどは資料経由だと思うんですけどね、杉井さんがニートになる直前は新宿の雀荘で働いてたとかのを聞くと、勝手に妄想止まらなくなるというか。
 ……お前は新宿って街にどういうイメージを持っているんだよ(笑)

  • ニート探偵事務所に謎の2億円を持った少女が転がりこんでくる→依頼発生。行方不明の父親を探してくれ。
  • 父親がやってた会社はやくざ絡みで、2億に横領疑惑が。
  • 地元でうろうろしている父親を目撃。横領とか他ヤバいこと絡みならヨソに逃げてるはずなのに。
  • やくざに襲撃され、そのことで父親がやくざに拉致されたことがわかる。
  • 会社はやくざが脱税した金の濾過、マネーロンダリングに使われていたことがわかる。
  • やくざからの脅迫、それに応酬するように、人を集めて動員して2億円を1日で振り込む。
  • あまりの大規模さに銀行まで口座主(=父親)をともなって確認しに来るやくざ、そこを襲って父親を奪還する。

 今回はわりと割りやすかったと思います。四代目との兄弟盃とかは上では省きましたが、今後に意味のあるエピソードでした。というか四代目はカコイイですねえ。
 しかし杉井さんから「家族」とか言われると妙に違和感というか、気恥ずかしさを覚えるのは……んー、完全に偏見だなぁ。


 ところで、カバンのなかまで水が染み入る大雨にたたられてしまったせいで、この本がちょっとベコベコになってしまったのですが……べつにビブリオマニアでもないくせに、本がちょっとでも傷むとすごくショックなのはなぜだろう。