「TISTA」1巻(遠藤達哉/集英社)

TISTA 1 (ジャンプコミックス)

 初恋のイメージは、すぎていく時間とともにプラス方向に増幅されていくものだと思うのですが。
 オイラにとって、遠藤さんはそういうものに近かった。
 増刊を買う習慣がついたかつかなかったころ、遠藤さんのデビュー作「西部遊戯」と出会って。ジャンプというのは初掲載のときはプロフィール欄がつくんですが、そこで遠藤さんの歳がオイラと同じというのもまた恋を加速させるに充分だった。たぶん、遠藤さんが初めてだったので。同い年で、ジャンプにジャンプにデビューしたのは。
 そこから7年かかって、やっと連載が来たわけで。舞台はSQに変わってしまいましたが。
 一貫して「戦う少女」を描いてきて、ときにはその少女に不幸な生い立ちが加わることもありましたが、舞台やキャラクタを変えつつも、「戦う少女」というモチーフだけはずっと変えてこなかった。おそらくジャンプの伝統など考えると、編集さんからは「少年主人公で描け」とか何度か言われたと思うんですよ。でもそれを安易に受け入れず、遠藤さんは貫き通してきた。
 だから7年もかかったのかもしれませんが。
 いろいろな幸・不幸の捉えかたがあると思います。話のキレはやや落ちてても、その作者の作品を早く読めること。完璧に近いキレを追い求めるために、作品発表に時間がかかってしまうこと。
 フィクション読みとして、どちらかだけが絶対に正しいとはオイラは言えません。現実に、量産タイプの人も職人タイプの人もいますし。
 ただ覚悟だけ、受け手として覚悟だけはいつも持っておきたい。待ち続けることも、急ぐあまりにクオリティが落ちることも。


 ストーリーに関しては最終巻が出てから語ろうと思います。ティセの原罪とか、まだ収録されてないしね。いかにして「主」に依存し、それゆえ救われず、破滅の道のみしか選べなかったのか――