小説

「さよならピアノソナタ 女王様の歌合戦」(杉井光/メディアワークス 電撃文庫MAGAZINEプロローグ2(asin:B0012V1I16)収録)

実は、この話が収録されている電マガプロローグ2は、今年の2月に発売されたものでして。 で、一方、先日感想を書いたピアノソナタ2の発売は、3月10日。 なので本来ならば、こちらの感想から先に書くべきだったんですが。 相互に数ページほど読んでみて…

「さよならピアノソナタ」2巻(杉井光/メディアワークス)

出来のいいバンド小説読んでると、だんだん歌いたくなってくるのがクセモノですね。 駅のコンコースで手すりに腰かけながら読んでたんですが、ひとりごとのつもりで歌ってた即興自作鼻歌が以外に大きな声だったみたいで、人目を集めてしまったりして。ああ、…

「さよならピアノソナタ」1巻(杉井光/メディアワークス)

杉井さんがここに至るまでプロとして書いてきた話――デビューの火目は原作があって、ある程度その枠が世界と発想を支配していた。で、次がニート(定職を持っていない若者)。 そしてこの3発目が、音楽(バンド)と。 羅列して、なにが言いたいのかといいま…

「神様のメモ帳 探偵の愛した博士」(杉井光/メディアワークス 電撃hpvol.49(asin:4840240213)収録)

杉井さん生涯2度目の小説誌面掲載。しかし、「探偵の愛した博士」でググっても感想が一件も出てきやしないたぁ……むー。掲載なんてそういうものなんですかね。 枚数を例によって手元で照合してみる。えー、原稿用紙換算で120枚前後かな。こういう誌面掲載…

「神様のメモ帳」2巻(杉井光/メディアワークス)

全体的にヤクザ世界な話。1巻目とはちょっと毛色を変えてきた感じ。 一人称なせいもあって、それほど違和感を感じさせずに読ませてますけれど。学園生活も都心ヤンキーも乏しくて、代わりが外国人労働者とかマネーロンダリングではさすがに生臭さは隠せませ…

「曠野の舞姫」(映島巡/エニックス)

読了。映島さんの古代ギリシア(近辺含む)ものというと、ジャンプノベルから出た「オデュッセイア」(isbn:4087030881)を思い出すというか、おそらくこの本を買ったのもそれが面白かったからに違いないのですが。 じゃあなんでそれを7年も積んでおくか、…

「ドラゴンズ・ウィル」(榊一郎/富士見書房)

ただのほのぼのファンタジーだと思って読みだしたので危なかった。 産業革命期に発生する絶対的な問題、非科学的価値観の直視と評価・発展的解体を織りこんで、少女の成長における「通過儀礼」話としてまとめている。 なんというか、うま面白かった。 技術的…

「空飛ぶ船」(多岐友伊/集英社)

いまは亡きジャンプ小説・ノンフィクション大賞の第2回受賞作。発売はなんと15年前。 作者はこれ1冊きりで消えてるし、ぶっちゃけまったく期待しないで読みだした(酷)のですが。 まあたぶん、オイラが海賊のこととかほとんど知らない(勉強していない…

「Fate/Zero」全4巻(虚淵玄・ニトロプラス・TYPE-MOON/TYPE-MOON)

いろいろ入手までに紆余曲折あったけど読了。 やはりオイラ、小説のリズムのほうが読みやすい人なんだな。テキストゲームだとどうも目が流れやすいというか。 まあすでに各所で感想、評論のたぐいは語りつくされていると思うので、あんまりオイラごときが小…

「かのこん」6巻(西野かつみ/メディアファクトリー)

まさかほんとに、生じゃなければノーカンを主張してくるとは! 今巻は未遂でしたが……そのうちやるかも。でも童貞中学生からしたらゴムありもなしも大差ないように捉えられてしまうと思うのですよ。つまり盛り上がりの構成として果たして今後その手を取ったら…

「かのこん」5巻(西野かつみ/メディアファクトリー)

発売から読破まで1年以上遅れとか気にしないぜおらー! 確かにラノベは売り上げのほとんどを新刊発売時に依存していますし、それによりコアな読者の読破スピードも新規新規、出るもの出るものへ飛びつくように進んでいくのが実態です。 でもよ、いいものは…

「神様のメモ帳 はなまるスープ顛末」(杉井光/メディアワークス 電撃hpvol.46(asin:4840237816)収録)

神メモの世界を舞台としたコメディ。こういうのを、サイドストーリーというのですかね? たぶん、杉井さんにとって初めてのhp掲載小説、だと思います。(文章掲載自体は高畑さんのコーナーにおける質問ですでにクリアー済) 枚数は……いくらだ? えー、字数と…

「神様のメモ帳」1巻(杉井光/メディアワークス)

杉井さんがブギーポップシリーズにであって影響を受け、その後投稿者として電撃一直線になったことは、受賞者インタビューでも語られている周知の事実ですが。 その(ブギーチルドレンとしての)杉井さんがついに商業で現れたな、という。や、原案抜きでイチ…

「イリヤの空、UFOの夏」3巻・4巻(秋山瑞人/メディアワークス)

2巻を読み終わってから実に5年ほども放置し続けてました、はい。 その理由は、鬱展開だという情報をキャッチしていたからなんですが。あと、ナジミスト的に噴飯ものの展開でもあるとか――いやそっちはそもそも2巻の段階で予測できたことではありますが。ほ…

「鉄コミュニケイション」全2巻(たくま朋正・かとうひでお・秋山瑞人/メディアワークス)

読了。一応ノベライズ、という位置づけになっているものの、エピソード自体は小説オリジナル。まあ外伝だと思えばいいのでしょう。ちなみにオイラはアニメは見たことないが、漫画のほうはかつて読んだことがある。部屋のどこにあるかはもうまったくわかりま…

「大唐風雲記」2巻・3巻(田村登正/メディアワークス isbn:4840220999・isbn:4840221766)

1巻を読んだときにはピンと来なくて、そのまま続刊を5年も積んであったのですが……いま読むとこれが案外楽しめたのが驚きでした。 なんだろう、2巻以降は「中国史の有名人に会いに行くぞ」というコンセプトにはっきり移ったからでしょうか。そりゃ唐代より…

「何かが道をやってくる」(レイ・ブラッドベリ/東京創元社)

読了。人の欲や陰を糧にして生き続ける「カーニバル」の魔の手に気づいた少年ふたりが、逃れ戦い、最後は陽の力で打ち勝つ話――で、いいのかな。ブラッドべリは人生で3冊目なんですが、ときどき観念的すぎるところがあって読みにくかったりしないでもないで…

「夕なぎの街」1巻・2巻(渡辺まさき/富士見書房)

読了。和風ファンタジー、というとイメージとして語弊があるんだろうな。科学とか魔術的には西洋寄りなんだけど、生活風俗は完全に日本的、というか明治っぽい感じ。 正直起伏の面でどうかなと思うところもあったんですけど、雰囲気がよくて文章も淀みがない…

「天になき星々の群れ」(長谷敏司/角川書店)

人類植民から何世紀も経た辺境惑星を舞台に、女子高生として潜入したエージェント・フリーダと、彼女と同居人になった「聖人君子」属性を抱えてる少女・アリスを主人公にして、惑星の動乱から解決、さらに「正義」「生きる意味」を問い詰めていく問題作。 正…

「ブギーポップ・ミッシング ペパーミントの魔術師」(上遠野浩平/メディアワークス isbn:4840212503)

読了。そういやミントで思いだしたのですが、メンソール煙草の良さというのはいまだによくわかりません。口が辛くなってつらいです。ドロップのハッカ味の良さはわかるようになったのですが。 「人の心の痛み」をテーマにした上で、まったくウザくない論調で…

「放課後のストレンジ ユージュアル・デイズ」(大崎皇一/メディアワークス)

積読くずしプロジェクト第……何弾かはいちいち数えてないけど(苦笑)、まあそういう流れ。 ある種、正統派学園異能、なのかな。特殊能力を持ったやつらが「超能力研究クラブ」を作ってて、能力のひずみにより生じた怪物と構内で戦うという。 2巻で打ち切り…

「ユリイカ」(青山真治/角川書店)

三島賞受賞作品。角川で初めて純文の賞を取った作品であるという小ネタもありますが、もっと気にしなければならないのは、この話が映画のノベライズであるということ。映画監督本人が書いたものということで、いま現在使われている「ノベライズ」という単語…

「Little Birds Fly」(円山夢久/メディアワークス)

読了。作者初の現代モノ。とはいえテーマは「ゴースト」、それを歌と踊りでなんとかするという設定は、よくある異能モノとは一線を画し、むしろホラー系の少女誌の漫画みたいな感じがする。 個人的には先生のキャラが好み。ドライな口調で、いつも上から見下…

「リビスの翼」(円山夢久/メディアワークス)

仮想の19世紀を舞台にしたファンタジー。 翼を失った鳥類人種と機械文明の力で栄華を誇る人間の対立、そのなかで鳥人の少女と人間の少年の間でかわされる思慕……かつて似たような設定の話を書いた者として、こういう話が嫌いなわけありません。もちろん大好…

「眠り姫」(貴子潤一郎/富士見書房)

「ベロニカ」がよかったので余勢を駆って購入読破。――余勢と言うには時間たちすぎですが(苦笑) しかし受賞作の次に出すのが短編集ってどうなんだろう。 題材より、技量の高さにひたすら翻弄させられました。もちろん心地いい翻弄ですが。説明文くさくなり…

「ポストガール」1巻・2巻(増子二郎/メディアワークス)

読了。 なんというか、こう、荒廃した未来/なにもない世界に生きるありふれた人たちを書くというのには、ちょっとあこがれるところがなくもない。 ラノベたらんとして、いつも大局的なことばかり考えて書いていて。土着の、地道な生活というものにあまり創…

「銀砂の月 坤の群青」(櫻井牧/エンターブレイン isbn:4757703716)

発掘は続くよどこまでも。なんと今回は6年前の本ときたもんだ。 買っただけで満足してた日々があまりにも長すぎたね。読めよ。昔の俺。 内容は陰陽五行を駆使したサイキック&成長譚。いやぁ、五行ってぶっちゃけゴレンジャーですね(むしろ成立順からいく…

「美亜へ贈る真珠」(梶尾真治/早川書房)

36年前のSFマガジンに掲載されたデビュー作含む、時間をテーマにしたSF短編集。どちらかというとSFガジェットそのものを書くというよりは、その周辺に在る人間たちを書いたものが多い印象。 もちろん、オイラは理系エンジンというものはあまり鍛えていない…

「月王」(櫻井牧/富士見書房 isbn:4829126698)

年をとってよかったなぁと思えることのひとつに、いろんなタイプの物語を楽しめるようになったことがある。それは余裕を獲得したからかもしれないし、教養を獲得したからかもしれない。 この話は平安期の農村を舞台にした怪異方術モノなのですが、例に漏れず…

「夏への扉」(ロバート・アンソン・ハインライン/早川書房)

正月だからといって特別なことはしないと言ったオイラですが、やはり年末年始となるとなにか大作に挑みたくなるようなところはあり、今年はこれを読んでみました。 「夏への扉」といえば、確かオールタイムSFベスト1位に選ばれたこともあったはずで、その点…