「神様のメモ帳 はなまるスープ顛末」(杉井光/メディアワークス 電撃hpvol.46(asin:4840237816)収録)

 神メモの世界を舞台としたコメディ。こういうのを、サイドストーリーというのですかね?
 たぶん、杉井さんにとって初めてのhp掲載小説、だと思います。(文章掲載自体は高畑さんのコーナーにおける質問ですでにクリアー済)
 枚数は……いくらだ?
 えー、字数と行数を数えて手元で照合してみた結果、だいたい原稿用紙(20×20)で100枚前後ではないかと出ましたが……あってるかどうかは知りません。そもそも杉井さんも原稿用紙では数えてないと思う。

  • 父のスープを再現する研究のために店に徹夜する日々。脱衣所でミンさんのサラシが何度も盗まれる。
  • フェティシズム方向からくすぐって、ミンさんにニー探への依頼を出させる。張りこみ開始。
  • デザイナーの窃盗犯を捕まえるが、彼ひとりの力で店に侵入してきたのではなかった。
  • 侵入は父が鍵を開けていたせいだった。同時に父がミンさんの腕前を密かに見守っていたことがわかる。

 犯人役が2人いた、というのがポイントの謎解きストーリー、ですかね。シンプルですがそれなりにサプライズのある、いい運びだと思います。(なんか偉そうだなオイ)
 相撲ファンとして「勝氏」には苦笑を禁じえませんでしたが。あの当時の貴乃花親方の痴態が思い出されるというか……最近オイラは、親方としての貴乃花をわりと評価しだしてきているんですけどね。大卒と外国人隆盛の角界で、叩き上げを重んじる親方はまったく目立ってませんけど。おかみさん(景子)以外はそんなに悪い部屋じゃないんじゃないかと。
 杉井さんが、大小問わずおっぱいを愛する漢であるということが流布されたという点で、価値のある短編だったのではないでしょうか。
 あと、サラシ文化のよさをあらためて考えたというか。日本人はもともと巨乳を否定して、サラシで押さえつけるのを是とする文化のなかで育ってきたんですよね。ブラジャー文化のほうがむしろ歴史が浅くって、確かに身体への負担もなく、経年による型崩れも防げて、人間それ自体が持って生まれたフォルムを保てるのかもしれませんけど。
 押さえつけの様式美というか、不自由さをあえて自ら課すことによって心身ともに律する効果もあったと思うのですよ。思えば西洋人だって、コルセットでウエストに不自由さを課していたではないかと。
 日本人の心を取り戻すために、いまこそサラシ復権をここに問いかけたいところであります。