「天になき星々の群れ」(長谷敏司/角川書店)

天になき星々の群れ―フリーダの世界 (角川文庫―角川スニーカー文庫)

 人類植民から何世紀も経た辺境惑星を舞台に、女子高生として潜入したエージェント・フリーダと、彼女と同居人になった「聖人君子」属性を抱えてる少女・アリスを主人公にして、惑星の動乱から解決、さらに「正義」「生きる意味」を問い詰めていく問題作。
 正直、主人公がどちらも感情移入しにくいキャラであるという困難さ(殺し屋と聖人だからね、常人の思考ではない。アリスに葛藤苦悩させることによって、常人感覚を付帯させようという狙いは見えるのですが)が、読書初心者たちの前に厚く立ちはだかっているのですが……なんというか、感覚的な表現でもうしわけないのですが、オイラのなかの「中学2年生」的な部分が熱く燃えあがりました。
 結局のところ、年こそおっさんだけど、まだまだオイラ好きなんですね。生と死、殺す側と殺される側、受動と能動、従順と反抗、自我と冷血、絶対善/絶対悪は定義しうるものか、復讐の是非……ああいかん、お腹ふくれてきた。
 さすがにこの話の場合はちょっと詰めすぎじゃないかと思うところもないではないですが。植民惑星とかもオイラ好きだしねぇ。これはよくない、と思いつつ好きなところもある――というのはやはり、近親憎悪?