「すみれの花咲く頃」(松本剛/講談社)
15年半も昔に出たものを、新編成版として講談社BOXブランドで復刊したもの。とはいえ、描かれている中身/世界が古臭いかというとそうでもなく。誰もが必ず少しはかすめてきたような10代の苦さ、苦しさ、それゆえの爽やかさが満ち満ちています。
1200円と漫画としてはちと高いですが、特に若い子には読んどいてほしいですね。
ちなみにオイラは旧版(isbn:4061022903)も運のいいことに持っていたりします。だのに買ったのは、新規の収録作があったからなんですが。
資料的な意味も含めて比較しておくと。
「なかない渚」「すこしときどき」がin。
「もんくのある気持ち」「呼べない名前」がout。
んー、正直に希望を言うと、こういうoutとかはしないで、松本さんがこれまでに書いた全作品を単行本として読めるかたちで出して欲しいんですけどねぇ。オイラそれぐらい心酔してるんで。ただそうなるとそれって全集になるわけで――全集って死んだときにしか出ないもん、だよなぁ。
結局読めるかたちになってるものを全部読もうとしたら、旧版も揃えないといけないのが現状か。旧版を探し求めてるブックオフ難民(や、べつに新古書店は他にもあるけど)の問題は解決されてないなぁ……
まあ年内には出すと広告打ってる北京的夏の復刊にいまは期待するしかないか。これはオイラも旧版持ってないし。ただ、今回講談社BOXで復刊した3冊、売れてるという話を聞かないんですよね。このまま玄人好みの寡作漫画家として埋もれてしまうんだろうか。うーん。