「かのこん」3巻(西野かつみ/メディアファクトリー)

かのこん〈3〉ゆきやまかぞくけいかく (MF文庫J)

 バカ度とストーリー性が両方増してきたという、まあ普通にいい3巻でした。主人公もついに射精したしね。直接陰部に激しい刺激を与えないでも出ちゃうのは若さの証拠です。いいなぁ(爆)


 で、今回は構成分割やめときます。理由はきっちりしたかたちをしてないから。基本線は、毎度おなじみのテーマ「彼女の異形性の受容」にあるんだけど――その筋での障害というものが、外側からおしつけてるだけなんですよね。「妖怪と人間でうまくいくわけないよ」って。でも主人公たちは一向に迷って(悩んで)なくて、プロポーズまで一直線だったんですけど。
 話の目的としては、前巻で九尾の尾のひとつに覚醒したヒロインが修行を積んで、力をものにする――って感じ。だから、普通ならこれをベースにして構成割るんだけど。はっきり言うと、前半ほとんどそのネタ出てこないんですよね。力を完全にものにできていないがゆえの問題を描写していない。一応、主人公に対する迷惑性の説明とか、あとになれば出てくるんですけど。前半のページは完全にキャラ遊びに費やされてて。
 まあこの手のコメディなら、まったく話の進展に関係しないキャラ遊びに明け暮れても、べつに構わないと思うんですけどね。実際、面白かったし。エロパワーおそるべしだよなぁ。


 あと気づいたことを少し。
 まず、主人公たちと同パターンにあたるものをそれそれ出してきたこと――具体的には、人間×妖狐の先例であるヒロインの母親・それと、妖怪+人間の合体能力を有する、主人公の妹ですが――これは、ベタではあるけどよかったと思う。意味のある設定というか。成長ものの場合、主人公の先達(成功失敗は問わない)がいたほうが意味的にかなりわかりやすくなりますし。合体能力者についても、これ純粋に対比対立させやすい、正統派の敵というか。今後を見渡しても非常に堅く正しい戦略でしょう。
 妹もどうやらガチの実妹っぽいしね。出生の秘密ネタと聞くとどれだけベタでも興奮してきます。ヒッヒ。
 ヒロインの母親が全裸で娘の彼氏(主人公)を篭絡しようとしたのは……2号さんらしいですね(苦笑) オイラ母萌えというエンジンをまったく積んでないので、エロ漫画によくある母子もの・友だちのお母さんと云々もの(いわゆるペタジーニ)なんてもう大概勘弁してくれって感じなんですけど。そういうエンジンでも積んでれば積んでるだけ得なんですよね。書ける幅が広がるから。


 余談ですが、オイラこの話、萌え版「うしおととら」ではないかと思いはじめてきた。マジで。