帝王賞

 ほんとは言及するつもりなかったんだけど、すごいレース見せられてしまったんで、少しだけ書く。
 いやね、最近ディープの非常識競馬ばっか見てたせいで忘れかけてたけど、競馬本来の醍醐味ってのは全力を出した馬同士のせめぎあいにあるんだよな。96年の阪神大賞典ナリタブライアンマヤノトップガン)を例に出すまでもなく。
 ドバイの挫折からの立ち直りを目指したカネヒキリは、精一杯の競馬をして、アジュディミツオーに負けた。直線、先を行く逃げ馬ミツオーに食らいつく勢いで追いすがり、力及ばなかった。勝ったアジュディミツオーの時計はレコード。互いに精一杯の競馬だったことに、異論を挟む者はいないだろう。これまでは出遅れ(武蔵野S)や飛行機輸送などと敗戦理由を見つけてこられたが、カネヒキリはついに言いわけのきかない敗戦を喫した。
 だがどうだろう、孤高の王様ディープインパクトなんかより、オイラにはいまのカネヒキリは魅力的に映る。負けてから始まる世界もあるのだ。これからも今回の2頭で力比べになることがあるだろう。お互いに執念を燃やし、がっぷりの競馬をするのだ。これを幸せと言わずしてどうする。
 ダート戦国時代と言われて久しいが、その極致までついに来たという感じ。しびれます。