「まっすぐ天へ」1巻(的場健/講談社 isbn:4063520625)

 1巻、と打たれているので、てっきり続いていくんだな――と思って読んでいたら、ラストページに「第1部完」の文字が。
 つまり、限りなく打ち切りに近い扱いを受けたようで。確かに最後の話の速度といったら、打ち切りのそれだもんなぁ。ジャンプで多くの短期打ち切りを見てきた者としては、あの無残なスピード感に哀惜を感じずにはおれない。


 内容的には、軌道エレベーターを夢物語としてではなく、いかに現実のものとして実現していくかを探っていく話。技術系の説明もよくされている。
 ただし漫画自体は、国家間の宇宙開発に関する思惑の衝突によって軌道エレベータープロジェクトが頓挫しかかる、という最悪のところで終わっている。「俺たちの戦い(未来)はこれからだ」的な打ち切りエンドで、かろうじてまとめてはいるけど。そのまとめ自体がせつないんだけどさ。
 軌道エレベーターという存在についての入門編としてはオススメ。宇宙を舞台にお話をつくるとなると、やっぱりそこはロケットありきというか、打ち上げの爽快感に魅せられるんだけど。高層建築物萌えな人種としては軌道エレベーターも捨てがたくて。