「僕と君の間に」1巻(鈴木央/集英社)

僕と君の間に 1 (ヤングジャンプコミックス)

 鈴木央ファンが待ちに待った作者待望のファンタジー……だよね?
 もともと読み切りでファンタジーばかり描いてた人で、それでファンになった人間(含むオイラ)にとっては、ゴルフだの空手だのフィギュアスケートだのという題材もいいけど早くファンタジーで連載をやってほしかった。
 ただこれが、読み切りでやっていたような純然たるファンタジーかというと、また違うんだけど。この話は機械文明も出てくるし、なによりキャラクタースタイルで話を作っている。ムードやテーマを主幹に据えてた読み切りのころとは違う。


 あちこちの文明を巡るというのがストーリーコンセプトのようで、この巻では主に、奴隷国家における惨状と反乱を描いていた。ジャンプではおそらくやれなかった虐殺描写も入っている。
 ただぶっちゃけ……デビュー作である読み切り「Revenge」(ホップ☆ステップ賞SELECTION15巻収録 isbn:4088711254)と型は同じだったりする。下層反乱っていうのが。
 焼き直したという感じはまったくしなかった(キャラの配置なんか全然違う)ので、たぶん作者が好きなんだろうなぁ。こういう革命話。


 あとこの漫画、謝らせるという癖をもってへたれを描こうとしている。オイラが常に「逃げる/諦める」ということでへたれを書いてるのとは、また、毛色が違う。謝り型のへたれもやってみる価値はあるなぁ。