笹生陽子

「きのう、火星に行った。」(笹生陽子/講談社)

先日感想を書いた「ぼくらのサイテーの夏」が清々とした青さを書いていると言えるなら、この話は痛々しい青さに満ちていると言えるだろう。落ちこみのなかに爽やかさの垣間見えた「ぼくらの〜」に対し、この話は刺々しさと熱さであふれている。 療養先から7…

「ぼくらのサイテーの夏」(笹生陽子/講談社)

デビュー作を、このたび文庫再版したもの。 正直、プロット的な整合性が不足というか、きちっきちっと系統だってイベントが起こっていない。ツッコミどころはそれなりにある。 しかし、だ。勝手な推測ではあるが、この話ははじめから整合性の面は狙っていな…