「ハチミツとクローバー」8巻・9巻・10巻(羽海野チカ/集英社)

ハチミツとクローバー 8 (クイーンズコミックス) ハチミツとクローバー 9 (クイーンズコミックス) ハチミツとクローバー 10 (クイーンズコミックス)

 今月のマンガ夜話で取り上げられるというので、それに合わせて読了。
 まあ実は、アニメ版で最終回までのあらかたの流れは全部知ってたんだけどね。つかよく考えたら、アニメ版は話の最初から最後まで全部やったのか……近年珍しい事態だったんだなぁ。
 はぐ大怪我ネタについて思うところがないわけではないですが、いまさらすぎますし、やめておきます。
 最後まで読んで、最も強く感じたのは「別れ」ですね。大学を出て、それぞれの違う道へみんな散っていくという。
 大学に限らず、学校を出てしまうと、それまで仲がよかった人たちと一気に疎遠になる。少なくともオイラはそうでした。住まう世界が違ってしまうからなんだ、と自分をなんとか納得させて寂しさを埋めてきたのですが……
 ましてや大学は、弱者であることを許されている最後の世界、学生と社会人という隔絶されたまったく違う領域の境界ですからね。とりわけ、別れ別れになっていくことの意味、寂寥が降りかかってくる。
 オイラが生まれる前の流行歌で「22歳の別れ」という歌がありますが、あの世界ですよね。どうしようもなく訪れる岐路と、変わっていく世界。
 いまは携帯もSNSもあるから、もしかしたら様相が違うのかもしれない、繋がりや交流を保てるのかもしれないけれど。


 しかし、最終巻の巻末に収録されてる「星のオペラ」という読切がすごすぎる。すごくいい。
 初出がドラえもん競作とのことなので「なんの道具を使うんだろう」と思いながら読んでたらあれですよ。「そう来るかい!」と叫びたくなる鮮やかさで。