「鉄コミュニケイション」全2巻(たくま朋正・かとうひでお・秋山瑞人/メディアワークス)
読了。一応ノベライズ、という位置づけになっているものの、エピソード自体は小説オリジナル。まあ外伝だと思えばいいのでしょう。ちなみにオイラはアニメは見たことないが、漫画のほうはかつて読んだことがある。部屋のどこにあるかはもうまったくわかりませんが……(ああ汚部屋万歳)
初出は98年で、まあ相当古い。しかもいまは亡き電撃G's文庫だったりする。でもちゃっかり、今世紀に入ってから電撃文庫本家のほうで再販されていたり。それぐらいの売れ行きはある、ということだろう(書影はG's文庫版にしかないのでコードはそっちを書いてますが)。
で、まず気になるのは、この小説のエピソード・設定は誰が考えたんだろうということなんですが。ラヲタ的な思考を剥き出しにすれば、「そりゃおまえ、もちろん秋山だろ」とか言ってしまいそうになるんですが。さすがに証拠もないことを妄言できるほどオイラも若くないし(笑)、結局、「よくわからない」ということしか素人には言えない。
なんだってこんなことをいちいち最初に気にするのかといえば――中身がべらぼーによかったからです。
「孤独」という事象を鍵にして、人が(いやキャラのほとんどはロボットなんだけど)どれだけ孤独を潰せる相手というものを求めているか。どれだけ孤独を怖れているか。その望みのためだけに必死になり、愚かにもなり、怒ったり泣いたり感情を抑えることもなく、ただひたすらに、「仲間」と呼べるべきものを渇望し続ける。
オイラも歳をとったので、やっぱりいまは己の弱さに負けたりしたヤツがどれだけ立ち直っていくか、という角度の話に弱い。ほろっとくる。邪気眼も英雄譚も嫌いじゃないけど、完璧な人間なんかより負けたり失敗を犯したりするようなやつのほうが好きだ。
この話はそういう点で、本当に負けること、弱くなることへの持っていきかたが上手かった。折れそうなのをなんとか繋ぎとめている心のギリギリ感や、ほんとに折れてしまって鎧っていたものが壊れていく様をみちみち書いて。地に足がいてるというか。