そしてみんな、歴史の目撃者になった。

 オイラたちは、意識しないままに「歴史」と同時代を生きていることが多い。
 こと「歴史」が刻まれやすいスポーツに目を移せば、その傾向はさらに顕著だ。ワールドカップ初出場、WBC優勝、イチローのメジャーシーズン最多安打記録更新、朝青龍の年6場所完全制覇、松坂大輔甲子園決勝ノーヒットノーラン春夏連覇……キリがないのでもうやめますが、オイラたちと同じ時代のなかで、星の数ほどの「歴史」が刻まれていってるわけです。
 そして先の日曜は、その「歴史」がまた新にふたつ、刻まれました。
 まず64年ぶりの牝馬のダービー優勝。正直オイラ、桜花賞は四位のせいで負けたのだろうぐらいに思っていたので、騎手のハンデのせいで今回もキツいんじゃないかと思ってましたごめんなさい。展開がドスロー前残りのなか、3F33秒の鬼脚で一気に突っ切って大勝してしまうとは……
 ダスカがオークス熱発回避するとわかったとき、「あーあ、ウオッカ出てればタダもらいだったのに。選択ミスったな」とか思ってどうもすいませんでした。ダービーもほぼタダもらいでした。
 牝馬の出走自体、ビワハイジ以来10数年ぶりという珍事で、だから来年以降ウオッカに続いていく馬が出てくるかどうかは相当あやしいというかほとんどいないと思います。それだけに、牝馬の優勝はもうこの先何十年もないかもしれなくって。
 この出来事と同時代に競馬ファンでいられたことに、もっとみんな、大騒ぎしなきゃいけないんですよホントは。何十年かして加齢臭ハンパないおっさんになったころ、競馬場で若いアンちゃん捕まえて、「俺は牝馬のダービー制覇をリアルタイムで体験した」と自慢してもいい、そういう次元の出来事だと思うんです。
 ……ちょっと興奮しすぎました。
 このあとは凱旋門賞挑戦プランもあるそうですが。ぜひ挑戦してほしいところです。3歳馬は斤量も有利ですし、サムソンよりもチャンスあるんじゃないでしょうか。マジで。


 それから、白鵬横綱昇進。横綱というのは白鵬含めても歴代69人しかいないわけで、これもやはり立派な「歴史」です。
 大鵬北の湖に次ぐ年少横綱、それも不知火型で土俵入りを行うという。一門のことを考えたら、この決定は当然のことではあるんですが。それでも、不知火型の横綱は短命、というジンクスが頭をよぎるのは確かなところ。実際、白鵬もこのジンクスを知って迷っていたそうですし。
 ただ、短命なのは高齢で昇進した横綱が多いから、というところでもあるんですよね。若くして上がったふたりも、双羽黒が親方と揉めて廃業したとか、玉の海が現役中に急死した一件もありますけど、これはさすがに特殊というか、白鵬が早死するということはよほど運が悪いかぎりないわけで(というか考えたくない)
 不知火型にまつわるジンクスを打ち払えるのはこの男しかいないと思います。ぜひ打ち払って、不知火型に対する悪評も吹き飛ばしてほしいところです。