デパートで「鉄道忘れ物市」なる催しをやっていたので、ぶらっと立ち寄ってみる。
 いわゆる、電車内や駅構内で置き忘れられていった代物を安く売るというアレですが。
 忘れ物の定番、カサのコーナーを見にいくと、柄のところに「どこの駅で落ちてたか」というのを示す札がついていた。オイラが見た一画はどのカサも「京王八王子」という札がついていた。
 落し物のくせに何百キロも移動してくるなんて、なんか生意気だと思う。
 ……それはそれとして、こういうのも交通網発達の象徴なんでしょうね。多少のタイムラグこそあれ、100年前の日本人からしたら信じられない速度でオイラたちは「東京の影」を感じることができる。テレビや電話のような電波的でなく、手に取れる=物質的なレベルで。
 だからこんな、落し物のカサという予期しないところでも「東京の影」に出会うわけで。
 地方を舞台にした閉塞話はいずれまた書きたいなという欲求はあるのですが、地方が純粋な地方性を維持していくのはどんどん困難なことになっていってるんでしょうね、これ。急いだほうがいいのかなぁ。