西武球団がアマチュア2選手に栄養費名目で裏金を渡していた

 残念、という気持ちとともに、やっぱりか、という感情が湧くのが正直なところ。システム的に考えれば、再発を防ぐ手立てはなにもなされていなかったのだから。おそらく、西武に限らず他の球団でもやっている可能性は高いのではないか。
 裏金の温床になっているのは結局、ドラフトに自由枠・希望枠なるものがあるからというのは明らかだろう。選手の側から球団を指名できるシステムである以上、球団が選手に対してあれやこれやの気を引く作戦をするのは目に見えている。選手のほうもそういう扱いにだんだん慣れてしまって、感覚が麻痺する。
 裏金を禁止すると言いながら希望枠制度を残すというのは、根本的に無理があるわけだ。
 だからこそドラフトの完全ウェーバー化を進めなければならない、というのが一場問題以降の野球評論の流れなわけだが、残念ながら一部の球団が改革抵抗勢力となっていて、ドラフト改革は進まないままになっている。共存共栄精神に欠けているのが実情だ。
 放映権料の連盟一括管理やサラリーキャップ制などの措置を講じることも含めて、ここでいま一度議論してみてもいいのではないか。


 西武球団に対しては、今秋のドラフト参加停止ぐらいの処分を下していただきたい。それぐらいの厳しい罰則規定がなければ今後もこういう問題は起こりうる。希望枠の廃止と罰則強化、その両輪で裏金を防いでいくしかない。自浄能力がない以上、システムから防いでいかなければならない。
 お金を受け取ったアマチュア2選手は、あるいは野球を続けていくことが難しくなるかもしれない。もちろん、力関係からいくと選手の側は圧倒的に弱く、受け取りを拒むとスカウトネットワークでそれが広まって、そこからも指名がかからなくなるのでは――みたいな怖れさえ抱きかねない状況でもあり、彼らに処分を下すのはやや厳しいと見る向きもあるだろう。過去も含めて、他に裏金を受け取っていてまだ処分されていない選手もいる(いた)ことを考えると、なおさら厳しい感覚は強い。
 ただ、スケープゴートと確実に言われるんだろうが、個人的には彼らへのなんらかの処分はやむを得ないとも思う。アマチュア側に意識改革させる意図もある。有望な選手の場合、周囲の大人たちが積極的に金銭を要求する場合もあるわけで。一概にプロだけのせいにしていいわけではない。
 個人的には、彼らが日本で野球をできなくなった場合には、野球をやめるのではなく渡米してMLBを目指してほしいという願いもある。孤独で逆境からの挑戦になるが、野球人なら一度は見たい本場でもある。悪い体験ではあるまい。