「美亜へ贈る真珠」(梶尾真治/早川書房)
36年前のSFマガジンに掲載されたデビュー作含む、時間をテーマにしたSF短編集。どちらかというとSFガジェットそのものを書くというよりは、その周辺に在る人間たちを書いたものが多い印象。
もちろん、オイラは理系エンジンというものはあまり鍛えていないので、ガジェット自体に萌えることなどできるわけもなく、だからこういった書かれかたのほうがおおいにありがたいわけですが。
全体的に落ち着いた筆致というか、ものによっては諦観さえ漂うような感じがあったんですが、そうしたなかにわずかに残っている希望・愛・奇跡を見出して描き出されているのがこう、読んでいて安らぐ気がしました。
こういうのが短編集という形式であるというのがなによりありがたいですね。お得感があります。