「シンフォニアグリーン」(砦葉月/メディアワークス isbn:484022014x)

 不詳巻島、カスワナビのくせに、小説書きのプロの知り合いがいたりすれ違ったりしていたことが多々ある。まあ長くネットやってれば、すれ違いぐらいはあるかもだけど……
 この作者砦さんも、そんなオイラとすれ違ったプロのひとり。
 デビュー作らしいたどたどしさがありながらも、サクサクとした小気味よいテンポで楽に読ませる。そのへんは、短編連作形式だったせいもあるんだろうけど。植物の発達した世界観というのもまあまずまず面白い。
 このサクサク感、悪意ある見方をすると「描写に深度がない」ということになるんですけど。まあなんだ、人間の交差により生じ進行するドラマを魅せるということに主体を置いて考えるならば、これぐらいの速度で進ませてもいいんじゃないかなと思う。結局はケースバイケースだけどね。