広島カープ創設期のエース、長谷川良平氏死去

 もちろん生で投球を見たことはないのですが、ある種の伝説的な投手として、つまり知識としてずっと存じていました。
 通算成績、197勝208敗。これだけ見ると、「へぇ、けっこうスゴかったんじゃん?」程度の感想しか出てこないでしょうが……ポイントは勝利数にはない。ポイントは、彼がいた球団にあるのです。
 このころのカープは、今でいう楽天的な弱さの球団だったわけで。むしろ補強に金かけたりできなかった以上、楽天よりひどかったでしょう。勝率3割前後をウロウロして、だいたい最下位かブービー。彼がいた14年間で、一度もAクラスには入れなかった。
 その状況下で、1951年には球団32勝中17勝、1953年同53勝中20勝、1955年同58勝中30勝、1956年は同45勝中22勝――という投げっぷりだったわけです。これを「スゴかった」なんて軽々しく言えますか? そんなもんじゃないでしょう。むしろ言葉で評してしまうこと自体がなにか畏れ多いことのように思えます。
 合掌。