「疾走! 千マイル急行」上・下(小川一水/朝日ソノラマ)
読了。故国を滅ぼされた少年たちが追っ手から逃げつつ、新しい未来に向かって突っ走るジュヴナイル。
信じてきた自分の国が実は悪だった、というところが明らかになってからのスピード感はさすが。若者らしき純粋さで未来の可能性を信じ、北端の島に集団移住するという決断――普通できませんぜ。国家のことは悪と断じられても、風土やそこで暮らしていた人々のことまで恨むことはできないから。いかに故国を滅ぼされ、移住以外に道がほとんどなかったんだとしても、いやはや。
あ、あとひとつ。敵の手から逃げ続けるスリリングさもなるほどエンタメとしてはいいんだけど、小川さんの特質を考えると、移住先での復興を書いたほうがきっと面白かっただろうなぁと。