「アニメがお仕事!」1巻(石田敦子/少年画報社)

アニメがお仕事! 1 (ヤングキングコミックス)

 またまた広島ネタ。といっても尾道だけど。カープネタはこっちのほうが満載。なんだか猛烈に広島に行きたくなってきた。広島弁がいま俺のなかで熱い。ファイヤー。
 それはそうと、中沢啓治氏の「広島カープ誕生物語」ってどうにか入手できないもんでしょうか。


 石田さん本人が元アニメ界の人だけあって、描写にはリアリティが漂います。動画の貧乏っぷりはよく言われますしね。銭金にアニメーターって出てきたことないのかしらん?
 ただ、オイラのようなアニメ界門外漢みたいな人には、もうちょっと説明がほしかったです。ぶっちゃけ制作ってなにする人なんですか? 作監は? 現場の仕事割り当てって結構アバウトだって聞いたこともありますけど、そもそも肩書きの定義自体がよくわからないんす。


 こういうクリエイティヴな現場で夢を語るって、逆説的な意味でつらいと思う。日本人ってすぐ真剣な人を笑うのよね。真剣にバカをやるからこそコメディって面白いんだけど、真剣に真剣なことをやってる人を、自分のモノサシで「あれはバカをやっているのだ」と勝手に決めつけて、笑ってしまう人の実に多いことか。自戒の意味もこめて言うけどさ。
 そういうのが俺は怖くて、結局リアルの知人にほとんど小説のことは言ってきてないわけだけれど。自分のなかで自信はあっても、他人の反応を無視できるほど面の皮が厚くない。逆ギレして無視しすぎると、今度は耳が死んでるの? って言われちゃうし。
 あの人のようにうまくなりたい、でも書いてるとぜんぜんヘタクソで自分に腹が立ってくるというのはまったく同じです。頷ける。そんなヘタクソだからこそ、理想なんか語る資格がないと自分で落ちこんじゃって、そのまま無限ループ。


 石田さんの描く「痛み」とは、壊す人と作り上げていこうとする人との対立であることが多い。常にやることは順調にいかない、壊しにくる人もいるし、自分の弱さゆえに自滅することもあるよと、紙の上からはみ出さん勢いで描いてくれている。
 その「痛み」には誰しも身に覚えがあって、だから読んでて、いつか感じた「痛み」がぶり返すんだけれど。でも忘れてはいけないもののような気がして、また石田さんの本を求めてしまう。
 この「痛み」を達観してしまわないうちに、もっとオイラは修練を積んで前へ上へと進みたい。