「おおきく振りかぶって」2巻(ひぐちアサ/講談社)

おおきく振りかぶって (2)

 探しても見つからなかったので、ネットで注文。本書は8月に出たそうだが、奥付を見たら4ヶ月で6刷もいってた。なるほど、売れまくりなのは確からしい。
 一部では「ホモっぽい」「やおい」だとか言われてたが……あらためて読むと、そんな気にならなくもない。男が面と向かって、手を握り合って「好き」とか「俺のものにする」とか、あんまり言わないもんなぁ。恣意的な意味合いにとる人もそりゃ出てくるか。
 そんなことを意識してると、カバー下の三橋と叶の幼なじみエピソードも、狙ってんのか? と見えてきてしまう。ああやだやだ(笑)


 と、ここでふとひぐちさんの初単行本「家族のそれから」(ISBN:4063142655)を読み返してみたんだけど……この人、デビューが同性愛ネタだったのね。なんか合点がいってしまった。


 ともかく心理と理論がここまで見事にハマってる野球漫画は、そうそうないのではなかろうか。スポーツものにおけるメンタリティ重視路線の歴史はそう古くはないが、そこに本書は理論を組みこんだ。そう、野球って知れば知るほど、理屈で分解できてしまうことが見えてくるのよね。
 しかし理屈には血が通っていない。血の通わないものと、血の通った心理・感情とが交差するとき、そこに爆発的な面白さが生まれる。激しく対立するか、激しく融和するかのどちらかしかないから。心の迸りこそは、人をはらはらと惹きつける。
 野球好きは必ず読むべし。オイラはあんまり人に布教ってしないのだが、これは堂々と薦められます。