そして僕らは、暗黒時代のにおいを感じ

 現時点で7連敗、もはや優勝はなくなり、日本シリーズ出場なんかあきらめ、どころか4位転落も濃厚になってきたタイガースですが。書く意欲が失せないうちに、今シーズンの総括というか、そういったものを書いておこうと思います。


 いやあ、今シーズンはとにかく胃に悪い試合ばっかりでした。辛勝と大敗がほとんどでしたからね。首位にいたときでしら、得失点差マイナスでしたから。
 打線のクソさと、中継ぎの踏ん張り。そのふたつが、こうした現象を支えていた理由だったわけで。
 打線は右バッターがほぼ全員終了という悲惨さでした。開幕から今岡濱中関本が絶不調。今岡の劣化はシーズン前から予想していたのですが、去年活躍した濱関のふたりの劣化は予想してなかったファンも多かったのではないかと。関本は隔年の気があるのでまだわかりませんが、濱中はこれでもう終了かもしれませんね。個人的にはヨソに出してあげたほうがまだ復活するかもしれない。
 その後もシーツと矢野の衰えが顕著になってきて、完全に右バッターは終了。後半になってやっとまともな右、桜井が出てきたものの、すでに時遅し。
 結局桜井と林、狩野ぐらいしか野手は収穫のないシーズンでした。どうせなら坂とか大和とかもっと試してもよかったのにな。内野手と右はほんとに酷かった。あれだけ酷いと、大胆に若手に切り替えても文句でなかったんじゃないかと思う。


 投手陣は、ついに先発陣からエースがひとりも出てこないという惨状のなか、井川の穴をJFKがひたすら埋めてくれました。
 ただ、シーズン当初からずーっと頼りきってきた結果、ここに来てJFKもパンクしてしまったんですが。
 新外人ふたりは安定感なく、下柳もさすがに衰え、安藤福原はケガ&調整不足で終了。杉山能見小嶋岩田若竹という第3世代の先発も誰ひとり台頭せず。新人上園が気を吐いたのは唯一の光明でしたが。
 普通の監督なら来年は江草と久保田も先発争いさせると思うんですがねぇ。岡田監督はじめ首脳陣には、もっと先発主体の投手教育というものを考えてほしい。今年だって、いくら投げてたのが新人だからって、6回0点で変えたりするケースが何度もあったし。積極的に先発に代打出してあと中継ぎで逃げきる、みたいなことをやっていては、先発は育ちません。いまの中日、日ハムを見てもわかる通り、野球は先発です。


 そうした中継ぎ中心野球の犠牲になったのが、JFKだったわけで。
 特に藤川球児。素人目にもわかるほど彼は劣化してしまった。05年や06年は、もっとストレートで空振りが取れていたのに。いまはほとんど取れない。どころかジャストミートされることも珍しくなくなってしまった。結果、たいして落ちないフォークとかカーブを混ぜないと抑えられない投手になってしまって。
 原因は、過投と勤続疲労。もともと抑えというのは寿命の短いものだったわけで。だから岩瀬とかトレバー・ホフマンパドレス)とかは敬意を持たれるわけです。
 藤川は残念ながらそこまで息の長い投手ではなかった。数年後には、平井正史のような、元抑えの中継ぎとして防御率三点台前半で投げてる感じの投手になってるのではないでしょうか。もちろん外れてほしいけれど。シーズンオフに休むと、またストレートの伸びが戻ってるんじゃないかとか、淡い妄想はつきませんが。
 仮に来年も今月ぐらいの内容にしか戻れなければ、完全に彼は抑えとしては終わった選手になるでしょう。元抑えの中継ぎでも、やれと言われればそりゃやるでしょうが。スポットライトの当たる人生ではもうなくなる。
 速球投手というのはみんな、致命的な故障で球速を失い、投手人生を散らせるのが常だったんですが。古くは沢村栄治尾崎行雄山口高志与田剛、最近だと五十嵐亮太石井弘寿もそうなりそうですが。他にもたくさんいるんだろうけどキリがないので思いついた選手だけ書くにとどめますが……そこにはある種、太く短く、という潔さ・美学のようなものもあるのではないかと思う。
 そうした美学と縁なく、段階的に劣化するというのは藤川にとってどんな気分なんだでしょうか。
 彼は責任感の強い投手なので、三点台の中継ぎでもチームに貢献できるならやります、と平気で言うと思いますが。そういう衰えた姿を見たくない、というのは、きっと見てる側のわがままなんでしょうね。


 うっかり3位にでもなってしまうと、首脳陣誰ひとり交代しないということにもなるでしょう。すなわちそれは先発教育がさらに遅れ、来年以降よりチームの弱体化に進んでしまう=暗黒時代を迎えるということを意味しています。
 フロントには、右打者の強化、先発教育のできるスタッフ配置というものをぜひとも考慮していただきたい。
 ガラガラの甲子園を一番見たくないのは、球団の方々だと思いますので……
 負け犬根性がまだつききってないうちに、抜本改革をお願いしたいところであります。