「何かが道をやってくる」(レイ・ブラッドベリ/東京創元社)

何かが道をやってくる (創元SF文庫)

 読了。人の欲や陰を糧にして生き続ける「カーニバル」の魔の手に気づいた少年ふたりが、逃れ戦い、最後は陽の力で打ち勝つ話――で、いいのかな。ブラッドべリは人生で3冊目なんですが、ときどき観念的すぎるところがあって読みにくかったりしないでもないです。
 一番中心に書かれていたのはウィルだったのですが、キャラとして印象が残るのはその脇のふたり、ジムとチャールズでしたね。
 13歳という半端な年齢に生きながら、大人への渇望を隠さず、そのために親友とケンカまでしてみせるジム。
 そしてブラッドベリの力がどう見ても一番入ってた、ウィルの父親チャールズ。息子と自分を比較して/あるいは息子の同年代の子の父親たちと自分を比較して老いを感じ、そのコンプレックスゆえに敗れそうになる。しかし逆に、あるときはその年齢/経験を生かして、息子たちに「カーニバル」を成立たらしめている人の業の面を諭す。後半はとにかく大活躍で、手首折れても魔女殺すし、ボスも倒すしで、序盤のジュヴナイルカラーがどこいったと言いたくなるほどの中年大活劇。
 まあでも、不老ネタはオイラやっぱり好きかもしれない。周囲との老化(加齢)ギャップに苦しみながら生きていかなきゃならなくなるという、その懊悩がたまらない。