「ダブ(エ)ストン街道」(浅暮三文/講談社)

ダブ(エ)ストン街道 (講談社文庫)

 この世で最もメフィスト賞らしくない話――と言われているかどうかは知りませんが、明らかに他の受賞作と毛色が違うのは確か。なんせガチのファンタジーなのだから。
 ひどい夢遊病のせいで行方不明になった彼女を追いかけて、秘境ダブ(エ)ストンに上陸した主人公のクエストを綴った話なんですが、まあとにかく出てくる人物、出てくる風習が変なのばっかで飽きさせない。次は何が出てくるんだろうとドキドキして。奇想ってのはこういうことを言うんかなぁ、と。
 一から世界を創り上げる快楽、創り上げられた世界を貪る快楽をほどよく味わいました。オイラはこういうの好き。