蟲師 第14話

 うーん。誰も悪意を持っていないのに、不幸せになっていくというのがなぁ。
 いや、悪意はあるか。里の人間は、理解を超えた異質な存在に対して明確な排除の意思を持っている。それは、異質側の視点で顛末を見た者としては理不尽にしか映らないが、里の論理から考えれば極めて正当性のあることだ。それは異存在のもたらす物理的悪影響を怖れてのことでももちろんあるし、ただ単に、外部の人間によって「空気」を弄られるのを嫌悪しているということでもある。
 よく「空気を読め」と言われるが、この国では集団でなにかしていく際、非常に「空気感」というものを大事にする。そして外部の人間は――たとえ当人が影響を与えないよう気を配ったとしても、知らず知らず――存在自体が「空気」を変えてしまうことがある。
 だいたい、外部の者が入ってきた時点で視線がまずその者に向かって動いて(集まって)しまうんだから。かすかな動きも、多勢になればそれはひとつの「流れ」を形成する。「空気」へと繋がっていく。その集まりを受けてどう対応するかが、異存在が最初に試される「空気を読めるか」ということなんだが。
 ……なんか筆の進むあまり、全然感想と関係ない話を書いてしまった。わわ。