これまで近くにいたと思っていた人間が急に離れて、光り輝いていくのを見て、追いつかなきゃと慌てて電車に飛び乗ってみたものの。確かにそれで光には近くなれるんだけど、でもそいつは窓ガラス越しのもんでしかなくって。つまり、絶対に触れることができない。手にすることができない。
 結局眺めてるだけって事実は変わらず、ただ眺めかたが変わっただけだったり。
 ――そんな詩的なことを、夕方、信号待ちの合間に、ぎらついた陽を浴びながら、考えていました。夕刻の寂寥感は、鬱気質の人間にはヤバいです。特に冬は。ドイツ人もびっくりのメランコリー。