有馬記念 総括

 実はディープが勝ったときのことを考えて、ディープと朝青龍を比較する文章というものを書こうとしていた。同じ最強なのに、なぜこうも人気の面で差があるのかという。だけどそんなものを書く必要はなくなってしまいましたとさ。ハーツクライおめでとう。
 ハーツクライは永遠に「惜しい」を繰り返す馬だと思っていたので、この展開は意外でありました。JCで日本馬最先着した反動もあるだろうと思っていたし。しかしそんな思惑を覆したのは、ただただルメールの好騎乗に尽きます。「もっと前で競馬すれば届かず惜しいなんてことは減りそうなのに」と、みんなが思ってたことをそのまま実行してしまった。ディープを負かすにはどう考えても四コーナで相手より前にいなければならなかったのだが、そのあたりを踏まえての位置取りだったのかもしれない。
 ハーツクライはSS×トニービンという典型的な社台血統で、血統のドラマはないに等しい。しかし*1オイラは必ずしも競馬に血のドラマは求めきっていない。あればいいが、それがすべてではない。競馬に限らず、オイラがスポーツに求めるものは「弱者のカタルシス」である。常に勝ちきれなかったハーツクライには個性として弱者性が備わっていた。だからオイラは、一定満足である。


 しかしディープが負けて泣いている人がいるというのは、オイラにはよくわからない。あの馬のどこに共感できる部分があるというのだろう。
 ああ、違うわ。そういう泣きかたじゃないんだ。教祖様がお隠れあそばされて、ショックでうろたえてる信者的な泣きかたなんだ。そこまで一頭の馬の絶対性に心酔できればある意味幸せかもなぁ。
 まあ初古馬戦はルドルフも負けた(JCで)道である。歴史が繰り返しただけのこと。泣いてたディープファンというのはほとんどが競馬歴の浅い人だろうから、今回のことで歴史を勉強していただければしがない一競馬ファンとして嬉しい。




 さて、長々と一年ほど、中央のG1に限って毎回展望と総括を書いてましきたが、この有馬をもってそれをレギュラーから外します。不定期コーナーにします。
 理由は、レギュラー状態だと興味の薄いG1についても書かなければならず、それが苦痛だったからです。
 レースの格にとらわれず、面白いと思ったものについて書き、興味がなければ例えダービーと言えども書かない。そういうありかたのほうが自分らしいと思うし、中身も詰まってくると思う。中身の詰まってないものを読ませるのは失礼でもあるし。
 書評でも同じことだと思いますが、ルーチンワーク化した感想など書く意味はないです。無理しなきゃ書けないなぁと思ったら堂々とスルーすべき。


*1:指摘を受けたので訂正します。詳しくは30日の日記をご覧ください。