兄妹日和 大反省会

 いや、反省会と称せるほど、今回のこれがたいしたものだとは言いきれないんだけど。


 連載の目的はいろいろあった。まずひとつは、ブログが小説連載のスペースとして機能するか否か。それはなにもデザイン/見栄えだけのことではなくて、周囲からの反応とか、そういうものを調べてみたかったということ。
 結果としては……巻島の実力とこの場所の知名度を考えると、まあ反応としてはこんなものだろうと。今後もこのような形式で連載してみたい意欲はある。


 ふたつめは、連載という形式とお指様、それぞれの実験。ようするに、プロットをおおまかにしか立てず、ネタと勢い中心で細かくつないで書いていくとどうなるか、ってなところ。
 はっきり言えば、このお指様手法はこれまであまり好きではなかった。個人的に、小説というのは精緻に緻密に作るものだと思っていたし、行き当たりで書いてくなんてそもそも読み手に失礼だと思っていた。
 そんななか、今回初めて連載形式というものに挑んでみて、わかったこともあった。
 巻島は全体でプロットをたてたとき、全体のなかでの面白さにばかり目がいって、個々の、一行一段落単位での面白さというものを軽視しがちだった。それにより、ページを先にめくらせる力に乏しさがあった。しかしタームを明確に区切れば、1日の連載枠=たった数枚の範囲のなかで、なんとか面白いことをひとつでもやろうとする意識が活性化される。これには驚いたし、なかなか悪くないことだと思う。問題点解消のヒントになるかもしれない。
 お指様にしても、様相は同じである。あれはあれ、1行1文単位で「なんとか変なことをしてやろう」という意識がより活発になる効能がある。それがよくわかった。
 ただ「兄妹日和」という話に関しては、作者である巻島の視点と、キャラクターであるまなみの視点とか混在しすぎてしまって、その点で未熟な出来になってしまった。今後、今回のようなスタイルを使うとしたら、一人称を書く場合になるでしょう。


 で、ひとつめに関連して、各所からそれなりに、非公式に意見を戴いた。ありがとうございます。

>>乱雑な塔を、まなみは見上げる。


>>バランスを失って、塔は想定通り、崩れてきた。


>前文はともかく、後者の文。作者の語彙のなさから「塔」と呼んだように見えてしまうんですが。
>比喩のつもりなんでしょうが、かえって逆効果になってるような。「積み上げられた段ボール箱は想定通り」とかのほうがよくないですか?

 えー、作者自身が、思いついた比喩にある程度酔っているせいであると思います。
 同時に、具体レベルと比喩レベルの配分加減が、ほとんどわかってないということもあるんですけど。


 続いてもうひとつ。

>ラスト、まなみが何に気づいたのか、わかりませんでした。

 うーん。ロジックとしては、「航はエロかもしれないが、エロ以上に、あたしを守ってくれるおにいちゃんである――ということに気づく」、という話だったのですが。あれだけエロに対して過剰な反応を示していたまなみを、エロそれ自体を覆すことなく、別の大概念で包んで転換させるというのは無理があったかも。
 こういう心理移行の問題こそ、プロットで提示したときに指摘される部分でありまして、だからこそプロット段階で人に見てもらうことは大事なんですが。やっぱりプロットは大事だ。うん。