「文学賞メッタ斬り!」(大森望・豊粼由美/PARCO出版)

文学賞メッタ斬り!

 1年ぐらい前に出てた話題の本をいまごろ読んだ。
 純粋に読みものとして読むぶんには面白いと思う。
 あ、あとラノベ者にとっては、SF以外の文脈を使っている大森さんを見れる貴重な機会かもしれない。余談だけど、「ライトノベル☆めった斬り!」の発売後の反応で、SFに対して根っからの拒否反応を示した人がそこそこいたことには、オイラはちょっとだけ驚いた。
 宇宙ラノベってやっぱ売れないんですかそうですか。


 ところで、ファウスト賞に絡んで、両氏がおたく第三世代(80年前後以降に生まれた世代)を評した言葉にこんなのがあった。以下、上記書の228pより引用。

豊粼「根拠のない自信がある。そういうのって今の若い人たちの一部に共通する感覚なのかも。」
大森「RPGの主人公的な全能感を無根拠に持ってるとか。最初から選ばれた人間であることに慣れている。」

 うううん。そういうもんなのか。俺たちの世代って。
 正直わからない。
 というのも、オイラは「あなたは実は選ばれた人間です」「ガーン! そんなのいやじゃー」的な話ばかり書いてたようなところがあるので。「環境の変化に対する適応」というテーマを無意識にずっと追いかけていたところがあった。
 あ。でもロープレの主人公って、はじめから勇者は勇者として育てられてるもんだから、いきなり環境が変わるってことはないのか。そういう生まれついての能力者風情・自信を、第三世代は持っている、と。
 駅のコンコースで歌ったり絵や言葉を売ってたりする人間が増えたのって、俺ら世代からだっけ? そんなことを思うと、なるほど、行動に際して自信のある世代なのかなということも思わなくもない。