「ぼくらの」2巻(鬼頭莫宏/小学館)

ぼくらの 2 (IKKI COMIX)

 巨大人型兵器「ジアース」がひとりの死と引き換えに1回駆動することが判明して、物語自体に面白さが加速してきた。先日、大塚さんの本で、通過儀礼における供儀死についての論を読んだこともあって、なかなか考えながら読んでしまう。
 日常の隣にある死。死の隣にある日常。みんなそのことを本当は知っているはずなのに、知らないふりをして日常を生きていく。
 正義とか悪とかの概念なんか関係なく、これまで生きてきた日常と自分の運命を対比させて、懊悩する少年少女。その一方で、彼らは死に迫っているにもかかわらず、戦闘員服のようなコスプレを自らに施してしまう。自分たちのことなのに、どこかメタ的な態度で接してしまうところは、現代的というか。自己を絶対に曲がらないほど強く確立させて戦うのでなく、抽象化させてしまうこと。それこそが、彼らなりの運命との向き合いかたなのだろう。


 特に半井の回が秀逸。母親の職業(売春婦)を体験して、自分として母親のしてきたことに納得しようとする少女の有様はまっすぐすぎて胸をくすぐる。職業が売春婦というだけで理解も傾けず責めたてるまわり連中は、いまのカスパルや大谷某氏にひどくオーバーラップして映った。