衆院総選挙が終わった。
 オイラにとっては、いささか意外な数字の結果となった。
 確かに、小泉純一郎が首相に就任した当時、国民が期待したのは既得権益・利権の温床であるもろもろの組織の解体新生であったのだから……そういう意味で、郵政民営化というのは格好の「アドバルーン」だったと言える。まあ郵政に限らず、道路も農協漁協も、いずれ解体しなきゃならんもんはたくさんあるんですが。ともかく、国民が就任当初に期待したことをようやく実行してくれると言ったので、それが今回の投票行動に繋がったのだと思う。
 しかし、小泉が二院制のシステムをなかば否定したこと、そして小泉の首相任期があとたった一年であること、さらに、郵政以外の政策はどうなのか、白紙委任でいいのか――それらの諸問題がどこか置き去りにされすぎてしまった感もある。
 なにより一番オイラが心配しているのは、与党が勝ちすぎたことで国会の形骸化がさらに進行するのではないかということだ。数で押し切れるのだから、わざわざ野党と議論する必要はなくなる。法案のクオリティを高めるためには一定、議論が必要ですが、それは党内ですませればいいし。
 そういう状態は非常に怖いと思う。仮に政権が暴走したとき、止めうることはできるのだろうか。懸念を感じざるを得ない。
 ……とはいえ、ひとつだけ面白かったこともあって。地盤なんかなくても選挙は勝てる、ということが今回とても立証されたように思う。つまり、政党本位での投票が多かったということ。日本は地域利権政治から政党政治に脱皮しようとしはじめたのではないだろうか。その点だけは、とても興味深かった。