「さよならピアノソナタ 女王様の歌合戦」(杉井光/メディアワークス 電撃文庫MAGAZINEプロローグ2(asin:B0012V1I16)収録)

 実は、この話が収録されている電マガプロローグ2は、今年の2月に発売されたものでして。
 で、一方、先日感想を書いたピアノソナタ2の発売は、3月10日。
 なので本来ならば、こちらの感想から先に書くべきだったんですが。
 相互に数ページほど読んでみて、オイラすぐ気づいたんです。
「これ、時系列が(発売順と)逆になってる……」
 2巻は夏休みの話、一方これは休み明けの話。先に世に出たほうが、あとの季節のことを書いているんですよね。
 で、ここで素人考えをめぐらせて、「おそらく雑誌と文庫の締め切りの違いから来る逆転現象だろう」と予想しました。実際に杉井さんの執筆順は季節順だったのだけれど、締め切りから発売までのタイムラグの違いによってこんなことになったんだろうと。
 そうと考えがまとまれば、こちらとしては素直に季節順に読むだけでして。
 あ、枚数は原稿用紙換算で73枚ぐらい。だいたい。

  • エビチリのコンサートのペアチケットをもらう。
  • 例のごとく民音の女子部員の間で取り合いになり、先輩が合唱コンクールでの勝敗で決めようと提案する。
  • 情報戦のなか、先輩のクラスの曲を掴み、自分たちがバンドであるということが武器になることにも気づく。
  • だが掴んだはずの曲は間違いで、完敗。先輩とコンサートに行った直巳だが、隣の席にコネでチケット入手したふたりがいて、なんやかんや。

 バンド名の「QUEEN」と曲名の「Hail Holy Queen」をひっかけるところにギミックが一点集中しているストーリー、ですかね。まあ100枚以内で書くとなると、こういうワンアイデアストーリーになるのはしかたがないと思います。枝葉、というかキャラクタのことをそれなりに書かないといけないし。実質はキャラのほうが主で、ストーリーは従に近いんですが。
 しかし真冬と直巳はほとんどクラス公認カップルみたいな扱いなのか。たぶんこれ、最初に転校してきたときにツンツンでクラスの不興を買ったこと、そこから真冬の取り扱いを直巳ひとりにおっ被せたところに、対応の原因があるのだろうな。
 普通に美少女とそういう関係なったら、もっと陰湿なからかいになるからね。
 ある種の負い目じゃないけど、問題児の扱いをひとりに任せてて、そのふたりがそのままラブい仲になってしまったとしたら、それはもう認めて祝福して応援しちゃうしかないわな。


 しかし指揮者か……オイラ、中3のときやらされたんだよな。正確には勝手に推薦されて候補に名前が挙がって、決選投票で勝ってしまったんだけど。
 その当時からすでに友だちは数えるほどしかいなかったし、根暗だし、女子にはキモがられてたんで、ぶっちゃけ「ハメられた、つかいじめだよな」と解釈しました。で、決まった瞬間にイラっときて机をバーンと星一徹ばりにひっくり返してしまって。
 まあ先生に問題視されたのなんのって。
 でもオイラも一歩も引けなかったので、オイラに投票したクラスメイトを全員立たせて、なぜオイラに投票したのかひとりひとり言わせました。いじめ以外のまともな理由があるなら言ってみろや、と。
 ……いまから考えると相当イタいヤツだな、集団社会的に考えて。
 変な正義心と怯えに似た警戒心と自意識の過剰さが合わさって引き起こしたイタさであるとも言えますが。問題は、いまもそのイタさがあまり変わってないってことなんだよな。はぁ。